2017年度 第6回ゼミ(2017.6.10)

研究状況報告(発表者:上田さん)

<整備コストの経済モデル>
エアライン共通の要素である運航パラメータ(年間飛行時間、年間離陸回数、機材のサイズ、機齢)を説明変数として、1機あたりの年間整備費用を算出するモデルを検討し、線形回帰モデルと機械学習の一つであるRandom Forestモデルを適用した。データは米国運輸省が公開しているDOT Form 41の2006年から2015年のデータを使用した。
・コストモデルの検証(モデルの確からしさの証明)
前回から進展がなく、今回もご指摘をいただいた。現行のモデルではCross Validationを用いているが、Cross Validationは予測モデルに対する検証方法であり、私が実データに基づく真のモデルの推定を行う場合はベイズ情報基準(Bayesian Information Criteria)の方が適しているかもしれないため、このあたりの研究を進めることとする。
・コストモデルの発展性について
本モデルを使うことで機材の導入・退役を踏まえた将来の整備コストのシミュレーション、路線別のコストシミュレーションなどに応用することができると考えている。
<コストと航空機の品質に関する仮説検証>
経済モデルをベースに航空機の品質とコストのバランスの考え方について議論した。航空機の品質の指標として定時出発率(定刻の16分未満に出発した率)を使用する予定である。
・指標について
顧客の求める品質と定時出発率の整合性、使用するデータが実態と合致しているか、別の指標は存在しないのか、についてご意見をいただき、引き続き検討を続ける。
本研究はコストモデルを作成することが目的ではないが、研究のベースになる部分なので、研究室のメンバーとの議論等を通じて、十分に時間をかけて検証を行っていく。
日高研に新たに5名の4月入学生を迎えることになった。メンバーが大幅に増員となり、頼もしい限りです。

研究状況報告(発表者:仲里さん)
デジタル印刷機メーカーのアフタサービスについて調査を行い、これまで保守サービスで収益を稼いでいたメーカーがセルフメンテナンスに移行しつつある現象について議論した。日高先生はじめメンバーからは以下の指摘をいただいた。
印刷機メーカーのプロダクトとサービスの収益構造について客観的なデータを基に議論すべきである
セルフメンテナンスに向かう産業とそうでない産業の比較分析はレポートとしてありうる
サービス部門の意思決定者に話を聞けるなら聞いてみると違った視点が得られるかもしれない。
・所属企業の状況を鑑みて、直接経営に示唆を与えるような緊張感を持ってレポートに取り組むべきであり、その内容でテーマを深掘りした方が良い。