2017年度 第22回ゼミ(2017.11.8)

研究状況報告(発表者:上田さん)

今回は、前回(10/3)のゼミで考察したサービス品質のHygiene Factorをインフラ業界に当てはめるために、各国の重要インフラ(Critical Infrastructure)の定義を調査し、重要インフラのサービスには国家に対する社会基盤の側面と、顧客に対する生活基盤サービスがあるという整理を試みた。
インフラ産業においても不具合の防止と速やかな回復はサービス品質の重要な要素だが、Hygiene FactorはFailure Prevention Approachとも言われており、サービス不具合を予防するために「念のため」のコストがかかっている可能性がある。国内航空会社の安全性に関わるサービス不具合の発生とリカバリーを事例紹介し、Recoveryのために大きな整備コストがかかったことを示した。
研究のリサーチクエスチョンとして以下を提示し、ご議論いただいた。
1. サービス品質の衛生要因(Hygiene Factor)によって顧客の行動に変化は生じるか
2. 重要インフラサービスの品質は企業によって違いがあるか
3. 重要インフラサービスの品質とコストにどのような関係があるのか
4. 投資によって企業の重要インフラサービスのコストを適切にコントロールすることが可能か
いただいたご意見
・航空サービスは顧客が自らの意思で購入しており、電力や水などの重要インフラと同列ではないのではないか。
・航空の定時運航率はHygiene Factorと呼べるのか。
・顧客属性によってHygiene性は異なるのではないか(利用頻度など)。
・重要ではないインフラが存在するのか。
・リサーチクエスチョンは博士課程レベル。修士で完成させるためにはフォーカスを絞った方がよい。
あわせてサービスリカバリーの研究は多くあり、B.Edvardsson (Karlstad University)を推奨いただいた。

 研究状況報告(発表者:佐藤さん)

on the theory of scales of measurement(S. S. Stevens 1946)の論文を読みゼミメンバへの説明を実施。統計やデータ分析を行う元となるscaleの基礎知識を共有。

研究状況報告(発表者:仲里さん)
オフィスにおける紙出力の選好と出力行動の関係について、その調査方法について議論した。
アンケート調査を意図していたが、対象が難しい点と、出力行動の結果自体の観測がアンケートでは難しい点を指摘された。
紙出力については、日高教授から東工大のペーパーレス会議の取り組みについて調査するという方向性の示唆をいただいた。
ペーパーレス会議という観点で数日検討し、会議資料の表示メディアが議論に与える影響というテーマについて、日高教授と再度個人ゼミを行った。
iPadを導入しペーパーレス化を図った地方自治体の議会に着目し、紙時代とiPad時代の議論の変化を議会録を分析することによって、表示メディアの影響を調査するという方向で研究を進めることになった。